Railsが使えるレンタルサーバー(共用・マネージド)の比較
- 2025年04月04日

Ruby on Railsは強力なWebアプリケーションフレームワークですが、国内の一般的な共用レンタルサーバーでは公式サポートがほとんどないのが現状です。
「VPSを使わずにRailsを動かせるサービスはないの?」
このような疑問にお答えするため、この記事ではVPSを除いた共用サーバーやマネージドサービスでRailsアプリを手軽にデプロイできる主要なサービスを紹介します。
Rails対応レンタルサーバー/マネージドサービスの比較表
まずは各サービスの基本情報を比較表でチェックしましょう。
サービス名 | 種類・環境 | Rails導入方法 | SSH利用 | 独自ドメイン / SSL | 管理画面 | サポート体制 | 月額料金(税込)※1 | 無料お試し | 商用利用 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロリポップ!マネージドクラウド | マネージドPaaS(コンテナ) | Railsコンテナをテンプレート選択 (ワンクリック環境構築) | ◯ | ◯(独自ドメイン設定・無料SSL対応可 ) | 独自Web UI(プロジェクト管理) | 日本語メールサポート(平日※2) 公式ドキュメントあり | 1,348円+従量課金 | 10日間 | ◯ |
Heroku | PaaS(クラウド) | Gitプッシュでデプロイ (ビルド自動化) | △(CLI経由で一時シェル) | ◯(独自ドメイン対応・無料SSL有) | Webダッシュボード | 英語サポート(メール※3) 日本語ドキュメントあり | 約1000円~($7~) ※現在無料プランなし | (なし)※4 | ◯ |
グランパワー共用サーバー | 共用レンタルサーバー | SSHでRailsインストール・配置 (Passenger対応) | ◯ | ◯(無料サブドメイン提供・SSL対応) | InterWorxパネル | 日本語メールサポート(24時間365日) 有人監視あり | 500円~※5 | 14日間 | ◯ |
※2 ロリポップのサポート受付時間は平日昼間中心(詳細は公式参照)。
※3 Herokuの無償サポートはコミュニティ中心。エンタープライズ契約では英語サポートあり。
※4 Herokuは2022年に無料プランが廃止されました。
※5 グランパワーは12ヶ月一括払い時の月額換算料金(「ソロ」プラン)。初期費用無料。
ロリポップ!マネージドクラウド – 手軽さと自動スケールを両立
ロリポップ!マネージドクラウド(通称「マネクラ」)はGMOペパボ株式会社による国内向けPaaS型ホスティングサービスです。共用レンタルサーバーの手軽さとクラウドの自由度を兼ね備えており、コンテナ上でRailsアプリを簡単に稼働させることができます。
主な特徴
- Rails専用コンテナテンプレートが用意されている
- ワンクリックでRails環境構築が完了する
- Rails以外にもNode.js、Go、Pythonなどに対応
- オートスケール機能でアクセス集中時も安定運用
料金体系
- 基本料金+従量課金方式(コンテナ起動回数による)
- 月2,000回程度のコンテナ起動までは定額1,348円(税込)
- アクセスが少ない月は低コストに抑えられる
- 10日間の無料お試し期間あり
運用環境とデプロイ方法
- 独自ドメイン・SSL: 取得済みドメインをプロジェクトに紐付け可能
- 無料SSL証明書(Let’s Encrypt)を自動適用
- 管理画面: ブラウザ上の専用ダッシュボードでGUI操作
- デプロイ方法: Gitリポジトリ連携や専用コマンド(
mc-rails
など) - データベース: MySQL 5.7系環境が標準提供
サポート体制
- 日本企業運営で日本語サポートが充実
- メールフォームでの問い合わせに対応
- 日本語のマニュアルやヘルプも整備
- 営業時間内でのメール対応やチャットサポート(状況による)
Tip
「VPSは難しすぎるけど、Herokuは英語が不安…」という方に最適なサービスです。
Rails開発者視点での評価
メリット:
- 環境構築がクリック一つで完了する手軽さ
- Gitデプロイ対応で開発フローに組み込みやすい
- 自動スケールにより一時的な負荷増大にも対応
- 日本語サポートで安心感がある
デメリット:
- 比較的新しいサービスのため利用者コミュニティが限定的
- 公式チュートリアルや事例がまだ少ない
- 凝った構成の情報が少ない
総合評価:「日本語環境でHerokuに近い使い勝手」 を提供する、初心者にも扱いやすいサービスです。
Heroku – 実績あるRails向けPaaS(海外サービス)
Heroku(ヘロク)は米Salesforce社が提供するクラウドPaaSで、Rails開発者に長年親しまれてきた定番サービスです。海外提供ですが、日本語ドキュメントや情報も豊富に存在します。
主な特徴
- デプロイの容易さが最大の魅力
- Gitにコードをプッシュするだけで公開完了
- サーバーやOS、ミドルウェア環境は全て自動構築
- 開発者はコードに専念できる環境
料金プラン
- 従量課金制(使用リソースに応じて課金)
- 小規模向けに低価格の定額枠あり
- 最安で月7ドル程度(約1000円) から利用可能
- 2022年11月に無料枠は廃止
運用環境とデプロイ方法
- 管理方法: 専用Webダッシュボード+CLIツール
- 独自ドメイン: CNAME設定で自分のドメインを利用可能
- SSL: 無料の自動証明書(Let’s Encrypt)を提供
- データベース: PostgreSQLが標準提供(ボタン一つでプロビジョニング)
- アドオン: Redis、CloudAMQPなど各種サービスが充実
サポート体制
- 基本的に英語サポートのみ
- 直接的なサポート窓口は限定的
- ドキュメントやヘルプセンター(英語)が充実
- エンタープライズ契約で専用サポート(英語)あり
- 日本語による解説記事はWeb上に多数存在
Warning
無料プランは廃止されており、現在は低額の有料プランからの提供です。
Rails開発者視点での評価
メリット:
- デプロイの簡単さは群を抜いている
- Git管理していれば即デプロイ可能な手軽さ
- インフラ知識がなくても本格的なWebサービス公開が可能
- Rails向けエコシステムとの親和性が非常に高い
デメリット:
- 無料利用ができなくなった
- ドル建て料金で為替によるコスト変動がある
- サーバー所在地が海外(米国中心)
- 日本語サポートがない
総合評価:「Rails公式級の安心感」と豊富な実績を持ち、英語対応が可能なら最も信頼できる選択肢です。
グランパワー共用サーバー – レンタルサーバーでRails対応を実現
グランパワー(Grandpower)共用サーバーは、日本のホスティング事業者が提供する珍しいRails対応の共用レンタルサーバーです。【「親切サポートと信頼性のグランパワー」】をモットーに、Ruby on Railsを公式サポートしている点が特徴的です。
主な特徴
- プログラム実行環境が非常に充実
- 一般的なCGI、Perl、PHP、Python以外にRailsが利用可能
- サーバー管理ツール「InterWorx」 を採用
- 日本で唯一のInterWorx公式パートナー
アプリ導入
- 「Softaculous」ツールによる自動アプリ導入機能
- Redmine(Rails製プロジェクト管理ツール)もワンクリックでインストール
- データベース設定やファイル配置も自動化
運用環境と技術面
- SSHアクセス可能: 自身でRailsアプリをアップロード・設定できる
- Webサーバー: Apache + Phusion Passenger(mod_rails)
- データベース: MySQL(プランに応じ5~50個まで)
※MySQLのバージョンは5.5と案内されており、やや古い点に注意 - ドメイン: 独自ドメイン無制限追加、サブドメインも自由に設定可能
- SSL: Let’s Encryptによる無料SSL対応
サポート・料金体系
- 24時間365日対応のメールサポート
- 365日有人監視でトラブル時も迅速対応
- 一部プランでは電話サポートも提供
- 最安「ソロ」プランで月額500円(税込)~
- 初期費用無料、14日間の無料試用期間あり
Info
ディスク容量や転送量も中規模サイト程度なら十分(ソロプランでSSD 10GB、月間転送20GB)
Rails開発者視点での評価
メリット:
- 通常のレンタルサーバーでRailsが使える貴重なサービス
- 低コストで複数サイトを運用しつつRailsも試せる
- WordPressなども同居させられる柔軟性
- 日本語サポートで安心感がある
デメリット:
- 環境構築の難易度はPaaSより高め
- Railsのバージョン管理やGem管理はユーザー自身で対応
- 共有リソースのためパフォーマンスに制限あり
- アクセス増加時の自動スケールなし
総合評価:限定的な用途でRailsを使いたい場合に有用。「低予算でRails環境を試したい」「自力で環境構築してみたい」という方におすすめです。

その他の選択肢と注意点
大手クラウドのPaaSサービス
- Google App EngineやAzure App ServiceもRails対応実績あり
- グローバルサービスだが日本リージョン・日本語ドキュメントも存在
- 設定や運用の自由度が高い分、料金体系やサポートはエンタープライズ向け
- 個人利用ではオーバースペックになることも
SSHログイン可能なサーバーでユーザー空間にRuby/Railsをインストールし、ポートフォワードやCGI経由で動作させる方法も存在します。しかし以下の問題があります:
- 公式サポート外の運用となる
- 動作が不安定になりがち
- 多くのサーバーが明示的に「Rails非対応」を表明
- トラブル時のサポートが受けられない
Warning
多くのレンタルサーバーではRuby自体は利用可能ですが、共用サーバーでは運用に負荷がかかるためRailsの稼働は正式には対応していません。
まとめ:用途に合わせたRails対応サーバー選び
国内でRuby on Railsが手軽に使えるサービスとして3つの選択肢を紹介しました。特徴を総括すると:
サービス | おすすめの用途 | 特徴 |
---|---|---|
ロリポップ!マネージドクラウド | 手軽にRailsを始めたい方 日本語サポートを重視する方 | 環境構築が簡単 自動スケールで安心 |
Heroku | 本格的なRailsアプリを運用したい方 英語に抵抗がない方 | 実績と安定性が魅力 Rails親和性が高い |
グランパワー共用サーバー | コスト重視の方 他のサイトも一緒に運用したい方 | 低価格でRailsが使える WordPressなども同居可能 |
サービス選択のポイントは、プロジェクトの規模・目的と自身のスキルレベルです。
Tip
まずは各サービスの無料トライアルを活用して、実際にRailsアプリをデプロイしてみることをおすすめします。
Railsは強力なフレームワークですが、ホスティング環境との相性も重要です。ご自身のプロジェクトに最適なサービスを見つけて、快適な開発・運用環境を実現しましょう。
最終的なおすすめ:ロリポップ!マネージドクラウド
3つのサービスを比較した結果、日本人ユーザーにとって最もバランスの取れた選択肢はロリポップ!マネージドクラウドと言えるでしょう。
その理由は以下の通りです:
- 日本語サポートが充実:技術的な問題が発生した際に母国語で相談できる安心感
- 環境構築の手軽さ:ワンクリックでRails環境が整う使いやすさ
- 自動スケーリング機能:突発的なアクセス増加にも対応できる安定性
- リーズナブルな料金体系:スモールスタートに適した価格設定
特に「初めてRailsアプリを本番環境にデプロイする」という方には、環境構築の手間を大幅に削減できるロリポップ!マネージドクラウドが最適です。
Info
ロリポップ!マネージドクラウドは10日間の無料お試し期間があるため、実際の使用感を確かめてから契約することができます。
Railsアプリケーションの開発に集中したい方、インフラ管理の手間を最小限に抑えたい方は、ぜひロリポップ!マネージドクラウドを検討してみてください。
